こんにちは、Partner SAの河原です。
2016年8月31日にSAP社より次世代データウェアハウス「SAP BW/4HANA」ローンチの発表がありました。この発表の中でも告知されていましたが、9月7日に米国サンフランシスコにてSAP社とAWSによる共同でのローンチイベントを開催いたしました。この様子はオンラインでも放送され、現在もこちらのイベントサイトから視聴することができます。ぜひすべてを通してご視聴いただきたいのですが、本ブログでも簡単に内容をご紹介したいと思います。
まず、昔からSAPシステムに関わっていた方には日本でもおなじみのSAP社ロブ・エンスリン氏(President, Global Customer Operations)より開催の挨拶があり、続いてSAP社バーンド・ロイケ氏(Executive Board Member, Products & Innovation)よりSAP BW/4HANAの紹介がありました。SAP BW/4HANAは、SAP HANA上でのみ稼働する次世代データウェアハウスの新製品であり、「シンプル化とオープン性」「モダンUX」「高パフォーマンス」の3つが大きな特徴になっています。また、SAP HEC(HANA Enterprise Cloud)もしくはAWSのクラウド上で最初から稼働することも特筆すべき点です。特に、シンプル化についてはSAP S/4HANAと同じ思想で、SAP HANAに最適化されたデータ構造の刷新が図られています。これによりデータ管理コストの大幅な削減を実現します。
オープン性はHadoopなどの様々な外部データソースとの容易な接続やシンプルなSQLによるHANA Viewを通したデータアクセスを指し、モダンUXはデータアナリスト向けのSAP HANA Studioによるデータモデリング、管理者向けのSAP UI5ベースのWebコンソール、そしてビジネスユーザー向けのSAP BusinessObjects Cloudを指しています。高パフォーマンスは言うまでもないですが、インメモリープラットフォームSAP HANAによる高性能と柔軟性を指します。そして、デモガイとして有名なSAP社イアン・キンベル氏によるライブデモも行われました。相変わらずすごいハイテンションです!
デモの後はAWS上で既にSAP BW/4HANAを稼働させたお客様、オーストラリアとニュージーランドのメディア企業であるFairfax Media社Diego Lombardini氏(Head of Finance)の登壇です。シドニーからサンフランシスコまできていただきました。ロイケ氏からの「なぜクラウドを採用したのか?」という問いには、「PoC(Proof of Concept)を始めるにあたり、AWSであればSAP HANA環境が瞬時に手に入るため、SAP BW/4HANA環境も1か月で構築できた。さらに当初予定の半分の3か月で本稼働システムをカットオーバーすることができた」「AWSであれば詳細なサイジングが不要で、PoCでは244GBメモリーからはじめたが、2TBメモリーへの変更も1時間以内にでき、稼働後の拡張にも柔軟に対応できる点が素晴らしい」「これらを実現するのはオンプレミスだったらとても難しい」といったコメントをされています。SAP BW/4HANAという前例のない新製品の採用において、クラウドをつかいこなすことで素晴らしい成果をだしていただいたと思います。
このSAP BW/4HANAは3つの導入方法が用意されています。こちらもSAP S/4HANAと同じで、「新規インストールまたはフレッシュインストール」「システムコンバージョン」「ランドスケープトランスフォーメーション」です。この説明が終わったところで、AWSでパートナーアライアンスを統括するテリー・ワイズ(Vice President, Global Alliance, Ecosystem and Channels)が登壇します。テリーの話はAWSとSAP社とのアライアンスの紹介から始まりました。2008年にSAP社がAWSを利用するところから関係が始まっており、今年のSAPPHIREでは2TBメモリーを搭載したAmazon EC2 X1インスタンスをSAP HANA向けに投入し、SAP S/4HANAやSuite on HANA、BW on HANAといったすべての用途に対応するなど、AWSとSAP社は非常に密に取り組んでいます。そして先日、X1インスタンスを7ノード並べた14TBメモリーのスケールアウト構成への対応、さらにSAP BW/4HANAへの対応も発表しています。
SAPシステムをお使いのお客様がインフラにAWSを採用するには3つの理由があります。「スピードの向上」「迅速なイノベーションの適用」「コスト削減」です。1つ目のスピードの向上について、クイックスタートにより1時間未満という非常に短期間でSAP HANA環境を構築でき、また先のお客様事例のようにスケールアップ・ダウンも容易に実現できます。SAP社が事前定義済みの環境をすぐ利用できるSAP Cloud Appliance Libraryもあります。2つ目の迅速なイノベーションの適用では、SAPシステムもAWS上で稼働することで高効率なシングルプラットフォームを実現でき、ビジネスを加速することができるようになります。3つ目のコスト削減では、スケールアップ・ダウンによる必要なリソース分だけの従量課金、リザーブドインスタンスによる大幅割引といった投資の最適化が実現できます。
最後に、Amazon EC2をはじめとしたコンピュートサービスを統括するピーター・ディサンティス(Vice President, Compute Services)より、X1インスタンスの最新状況を紹介しました。7ノード・14TBメモリーのスケールアウト構成は先にお伝えした通りですが、近日中にX1インスタンスに1TBメモリーの新しいタイプを投入する予定です!このタイプもなんとSAP HANA認定を取得しており、既にCertified SAP HANA IaaS Platformに掲載されています。お客様がご利用になれるまではもう少々お待ちください。
この後もイベントは続き、SAP社とお客様のディスカッションなどがありますが、ここでは割愛させていただきます。SAP BW/4HANA on AWSの詳細を知りたい方は弊社またはSAPジャパン様までお問合せいただければと思います。また、9月19-23日に米国ラスベガスにて開催されるSAP TechEdにAWSも出展いたします。もし参加される方がいらっしゃいましたら、ぜひAWSのブース#405およびセッション「TEC306 - Best Practices for Optimizing SAP Landscapes Using the AWS Cloud」にもお立ち寄りください!
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エコシステム ソリューション部
パートナー ソリューション アーキテクト
河原 哲也